この記事の特徴は以下のような資格取得ケースの体験記となっています。
- データサイエンティストのSAA取得
- GCP資格取得からのAWS資格取得
- AWS実務未経験者のSAA取得
- クラウドプラクティショナーを飛ばしてSAA取得
目次
概要
今回、AWSの実務経験はほとんどないデータサイエンティストがSAAを取得してみたので、勉強法・レベル感・試験当日の感想をまとめました。
私の取得前のステータスとしては、クラウド利用はGCPで主にBigquery、CloudStorageを扱っている程度でインスタンス立てて開発・運用などの経験はありません。
エンジニアのバックグラウンドがあるわけでもないのでオンプレでの開発経験もなしといった状態でした。
結果として1000点満点中774点(合格ラインは720点)と結構ぎりぎりでしたが、一発合格することができました。
そもそもなぜ今回AWSのソリューションアーキテクトアソシエイトを取得したのか?
業務上ではAWS環境のデータを分析することはよくありますが、データ分析環境はすでに整えられているか、社内エンジニアがセッティングしてくれることが多く、RedshiftなどのDWHを利用するところ止まりでした。
ただ、権限周りの理解ややりたいことをするのに必要なサービス(たいてい複数選択肢が発生するがその中でコスト最適なものはどれか、など)の理解など、知っておいた方が、よりスムーズにスピーディに分析業務を進められることは多いと感じます。
そんなわけで、「実務でガンガン触るかはさておき、知識習得のためにAWSの全体像を理解する」を目的としてSAA取得を目指しました。
通常クラウド資格取得のケースとしては、AWS→GCPといったようにAWSをまず最初に学習・資格取得する方が多いかと思われます。クラウドサービスのシェアから考えても自然ですし、実際に私の周りでもそのような方が多いです。
そのような中で私はGCP資格(Professional Cloud Architect・Professional Data Engineer)取得後にAWS認定資格取得という珍しいパターンなのではないかなと思います。
そういった背景から、AWS認定資格の入門であるクラウドプラクティショナーは飛ばしてSAAから受験しています。
GCP資格を取得しているとAWS資格取得の難易度はどうなる?といった所感もお伝えしていきたいと思います。
試験対策教材
それでは早速SAA合格に活用した学習教材についてご紹介していきます。
私は書籍は一切購入せずudemyの講座「これだけでOK! AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト試験突破講座」と同じくudemyの問題集「AWS 認定ソリューションアーキテクト アソシエイト模擬試験問題集(6回分390問)」の2つのみです。
上記講座名の「これだけでOK!」が本当にそうなのか、結論から言うと私個人の体感としては、「これだけでも合格できるかもしれない程度の実力はつくよ」という感じかなと思います。
試験料も税込み16,500円するので確実に一発合格目指したいという方には(上記模擬試験問題集など含め)他教材も必要かと思います。
知識を手に入れるための勉強方法
まず各所で評判の高いudemy講座「これだけでOK! AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト試験突破講座」を購入。
この講座は分かりやすく網羅的でハンズオンも豊富です。
ただ、ボリュームが非常に多く視聴・ハンズオンともに非常に時間がかかります。
動画時間は総計46.5時間。私は1.5倍速で視聴しましたが、聞き返したり、ハンズオンでは動画を止めて作業することになるので、この総計時間の1.5〜2倍くらいかかったと思います。
私はハンズオンに関しては、IAM・VPC・EC2・S3・ELB・Auto-Scalingくらいまではやりましたがそれ以外についてはハンズオン動画を見るだけで手は動かさずで進めていきました。
もちろん時間が許せばすべてのハンズオンを触ってみる方が良いですが、私は先に取得していたGCP試験勉強でGCPのハンズオンlabをある程度触ったことがあるのと、上記の基礎サービスを触っていくことで、AWSの基本的なセッティングの癖・パターンを大体体感できたなと感じたので省略しました。
udemyでは動画視聴中に気になる部分、自分でポイントだと思った部分にメモを残す機能があり、あとあと検索ができて便利なのですが、結局メモを残すだけ残して全く振り返り勉強をしていなかったことに合格後気付きました。
動画視聴も1周しただけです。やはり量が膨大過ぎて2周しようという気が起きませんでした。
ただ、動画を見つつ理解できていなかった事柄をノートにまとめて試験前に見返すということはしています。
ちなみにこのudemy講座には各章の最後に小テストが設けられていますが、個人的にはこの小テストにはあまり力を割かなくて良いかなと思いました。
模擬問題集と比べると問題の解説が不十分で理解が進まないことが多々あったように思います。
ただ、どこをもっと深掘って勉強すべきかの指針にはなるので、一度はやってみるという位置付けで取り組みました。
試験に合格するための勉強方法
一方で、上記講座の最後に3回分の模擬テスト(1回65問)が用意されており、これが非常に有効です。
1周目はそれぞれ60%程の正解率でしたが、解説を読んで、全ての選択肢についてなぜこれは正解でなぜこれは不正解なのかという根拠を自分の中で明確に持てるように理解をしていくと、2周目では90%以上解けるようになりました。
ただ、この講座の3回の模擬テスト、計195問では心もとないと感じ、同じ講師が出されている模擬問題集コンテンツ「AWS 認定ソリューションアーキテクト アソシエイト模擬試験問題集(6回分390問)」もudemyで購入しました。
これは65問の模擬テストが6セットで390問!かなりのボリュームです。(ただし1個目のテストは前述講座の3回目テストと被っています)
結局私は6セットのうち3セットまでしかやれませんでした。
その代わりそれぞれ3〜4周はしてる状態でした。2つのコンテンツ合わせて325問やっているので、まぁ十分かなと、この時は思って試験を迎えたのでした。
試験当日
GCP認定試験では自宅でのオンライン受験を選択していましたが、自宅環境のセッティングの面倒さとテストセンターへの往復とを天秤にかけて、今回はテストセンターでの受験を選択しました。
持ち物チェックはかなり厳重で、ポケットティッシュの持ち込みもNGでした。(代わりに希望すれば、机の上に置いておく条件でティッシュ数枚を手渡されました)
ポケットに手を突っ込む行為が疑わしいということなので、ポケットには何もない状態が必須となります。
試験は130分で65問なので1問2分がベースラインです。
いろいろな合格者の方の声を聞くと半分余って見直ししたとか、少なくとも10分20分は余ったというような話しか聞けませんが、私は試験の中で時間のプレッシャーがかなり大きかったです。
私が文章を読むのにかなりの時間がかかってしまう人というのもありますが、130分という長時間集中を保つのがなかなか難しいです。(テストセンターだと不定期に受験者や試験官の入退室が発生するのもあります)
模擬試験だと私でも10分20分は余っていましたが、本番試験では焦りも発生して見直しはほぼ1問もできずに65問に130分使い切った形でした。
また、焦りが発生した理由として、見たことないと感じる問題が結構あると感じました。(特に最初の10問くらいに集中していて序盤から緊張してしまいました)
udemyの模擬試験問題集ではそれぞれのセットごとにわりと似たような問題が多いと感じて、かなり理解できるようになった気でいましたが、そこまで類似した問題は出ないと考えた方が良いと思います。(機械学習的な例えを使うと模擬試験問題集は過学習になりがちなので、周辺知識を埋めて根本理解をすることで汎化性能を高めておく必要がある、といったところでしょうか)
私の場合は、見たことがないような問題でも何とか消去法で一定の正解率を得られたのかなと思います。
模擬試験問題集が間違いなく力になっていたと思いますが、それだけやってもほぼ確実に一発合格するレベルになるかというと難しいなと思いました。
また模擬試験問題集は「高難易度」という設定になっていますが、本番試験も難易度は同程度のように感じました。
かかった勉強時間
学習開始から合格まで3ヶ月半かかりました。
内訳はUdemy講座の動画視聴が3ヶ月、模擬試験問題集が2週間です。
試験直前を除き、基本的に土日中心の学習です。総時間は120~150時間程です。最後の30時間程度はひたすら問題集でした。
試験に受かるだけなら、問題集中心の勉強+理解が浅い点を潰していく勉強法で、もっと学習期間は短縮できるかと思います。
ただ実務未経験者がハンズオンを体験して実務イメージを身につけたい場合、ある程度時間かける前提で腰を据えてudemy講座をこなしてみるのはおすすめです。
まとめ
それにしてもawsのサービス群の多さに圧倒されました。
範囲が広い中でも、重要な概念、ベストプラクティスは出題比率も大きくそれらを中心に学んでいくのが鉄則かと思います。
また、GCPの認定資格(PCA、PDE)を取得後にAWSのSAAを取得した感想としては、やはりクラウドの思想、基本的なアーキテクチャ、サービスの概念はGCPもAWSもかなり類似しているので、概念の理解はすんなり進められました。
個別サービスごとのスペックや仕様については、比較する問題も多いためある程度の暗記が必要となりますが。
クラウドプラクティショナーを飛ばしてソリューションアーキテクトから受験したのも、GCPの概要を理解できていたので無理のない選択でした。
学習している中で躓くことはほとんどなく、「あ~この機能はGCPでいうあれか」という紐づけができるのでスムーズでした。
データサイエンティストの視点からもSAA取得を振り返ってみます。
今や分析案件でクラウドを利用しないことは珍しく、とりわけAWSのシェアを鑑みると、その概要把握という意味でSAA取得は意義があるように感じます。
今後はエンジニアだけでなく分析官もクラウド資格を持つことがより一般化していくと考えられます。
アナリティクスのシステム実装、MLOpsのニーズが高まるとともに、クラウドアーキテクチャ含めたコンサルティングが求められるようになるでしょう。
データサイエンティストにとってのクラウド資格取得の意義についてはまた別途記事を書こうと思います。
今回の記事がこれからSAAを受験しようと考えている方の何かしらの参考になれば幸いです。